・固定資産税・都市計画税

固定資産税・都市計画税

固定資産税・都市計画税は、毎年1月1日現在の所有者が納税義務者となります。課税庁である市区町村が税額を計算し、納税義務者に納税額を通知し、納税者はそれに基づき税額を納付します。
固定資産税・都市計画税は、固定資産税評価額を課税標準として計算されます。固定資産税評価額は3年に一回見直すことになっています。住宅や住宅用地については、課税標準や税額の軽減措置があります。


税額計算

●固定資産税の計算

税額=課税標準 × 1.4%
 (標準税率)※1

●都市計画税の計算

税額=課税標準 × 最高0.3%
 (制限税率)※2

 固定資産税

固定資産税の課税の仕方
固定資産税は毎年1月1日時点の土地・建物などの所有者(固定資産税課税台帳に登録されている人)に対し市区町村が課税します。納税は送られてくる納税通知書を使い納税します。一括払い又は年4回の分納のいずれかを選べます。
課税標準は固定資産税課税台帳に登録されている固定資産税評価額です。
住宅用地と新築住宅の建物に対しては軽減の特例が設けられています。
負担調整の特例により急激に固定資産税の負担が増える地域は一定の率の増加に抑えられています。
下表の軽減の特例は特に申請しなくても市区町村が手続をとってくれます。

住宅用地の特例 (マイホーム・セカンドハウス・賃貸用マンション〔住宅用〕など)

住宅用地小規模住宅用地(200m2以下の部分)課税標準 × 1/6一般住宅用地(200m2超の部分)課税標準 × 1/3  但し、建物の課税床面積の10倍が上限とされます。
(注1)店舗併用住宅の場合、居住用部分が1/2以上である場合、その敷地全てが住宅用とみなされます。
(注2)その敷地のうえに住宅が存在する限り、軽減の特例は適用されます。
(注3)マンション等集合住宅の場合、敷地全体の面積を居住用住戸の戸数で除した面積で判定します。
新築住宅の建物新築建物は120m2(課税床面積)までの部分について3年間・5年間にわたって固定資産税が1/2(平成28年3月31日までに新築された場合の特例)となります。
3階建以上の耐火構造・準耐火構造住宅新築後5年間一般の住宅(上記以外)新築後3年間専用住宅・店舗併用住宅(店舗併用住宅の場合、居住用部分が1/2以上)居住部分の課税床面積が一戸につき50m2以上280m2以下であること。
(賃家住宅の場合一戸につき40m2以上280m2以下)
認定長期優良住宅の建物平成28年3月31日までの間に新築された場合には新築から5年間(マンション等は7年間)税額が1/2に減額されます。

※住宅用地とは、専用住宅の土地又は併用住宅で建物の1/4以上が居住の用に供されている土地となります。


 都市計画税

都市計画税の課税の仕方
都市計画税は毎年1月1日時点の都市計画区域内にある土地・建物などの所有者に対し、市区町村が課税します。固定資産税と一括して納税します。
税率は最高限度0.3%以内の範囲で課税されます。
下表の軽減の特例は特に申請しなくても市区町村がこの手続きをとってくれます。

都市計画税の軽減の特例(マイホーム・セカンドハウス・賃貸用マンション[住宅用]など)

住宅用地小規模住宅用地(200m2以下の部分)課税標準 × 1/3一般住宅用地(200m2超の部分)課税標準 × 2/3(注1)マンション等集合住宅の場合、敷地全体の面積を居住用住戸の戸数で除した面積で判定します。
新築住宅の建物原則として軽減の特例はありません。
但し、市区町村によっては条例により特別に軽減の特例を設けている場合があります。

※住宅用地とは、専用住宅の土地又は併用住宅で建物の1/4以上が居住の用に供されている土地となります。

・賃貸マンションを売却した時の税金

賃貸マンションを売却した時の税金

賃貸マンションのような事業用の不動産を売却した場合も居住用不動産の売却と同じく譲渡所得に対して所得税・住民税が課されます。譲渡損失が発生する場合は、所得税・住民税は課税されません。その譲渡損失は、同年中に売却した他の不動産の譲渡益と損益通算することは可能ですが、給与所得などの他の所得と損益通算することはできません。


 譲渡所得の計算

自己が居住していた不動産の売却ではないので、譲渡益が出た場合のマイホームの3つの特例及び譲渡損が出た場合の損益通
算・繰越控除の特例は利用できません。(詳しくは、「不動産を売却するときにかかる税金」をご覧下さい)事業用不動産を
売却した場合に利用できる特例として代表的なものは、「特定事業用資産の買換え特例制度」があります。

 譲渡所得計算式譲渡所得 = 譲渡収入金額 -(取得費 + 譲渡費用)
 税額計算式税額 = 譲渡所得 × 税率(所得税・住民税)

税率表

 所有期間
短期(譲渡の年の1月1日で5年以下)長期(譲渡の年の1月1日で5年超)
税率39.63%(所得税30.63% 住民税9%)20.315%(所得税15.315% 住民税5%)

・賃貸マンションを賃貸中の税金

賃貸マンションを賃貸しているときの税金

不動産を賃貸している場合には、その賃貸料収入は不動産所得として所得税の課税対象となります。その年の所得税額は、不動産所得に給与所得など他の所得を合算して総合課税されます。また所得税の他、住民税が課税されます。


 不動産所得の計算方法
 不動産所得の金額 = ①収入金額 - ②必要経費

① 収入金額とは
不動産所得の収入金額とは、賃貸借の契約などによってその年の1月1日から12月31日までの間に収入すべき金額として確定した家賃、地代、権利金などの金額です。つまり12月31日現在その年の家賃が未収でも収入金額に含めなければいけません。

収入金額に含まれるもの
・家賃、地代        ・共益費などの名目で受け取る電気代、水道代や掃除代など・権利金・礼金       ・敷金・保証金のうち、返還を要しないもの
・更新料           (退去時に返還する分は収入金額に含まれません

② 必要経費とは
不動産賃貸に伴って発生した事業上の支出のうち一定のものは必要経費として収入金額から差し引くことができます。 不動産賃貸に伴って発生する支出の区分

必要経費として認められるもの
・入居者募集のための広告宣伝費・税理士・弁護士への報酬で不動産賃貸にかかるもの・減価償却費・立退料・共用部分の水道光熱費・土地の購入・建物の建築の借入金金利(事業開始後に支払った部分)・その他雑費(掃除、消耗品代等)・土地・建物に係る固定資産・税・都市計画税・事業税・消費税(税込経理による場合に限ります)・収入印紙代・修繕費(資本的支出に該当するものを除きます)・損害保険料(掛け捨てのもので、その年分のみ)・不動産会社への管理手数料・管理組合への管理費
必要経費として認められないもの
・住民税・所得税・借入金の元本返済部分・事業に関連しない支出(自宅に係る経費等)

 給与所得者の年末調整と確定申告

 給与所得者は他に収入がなければ、年末調整でその年の税額は確定します。不動産賃貸の所得については会社で年末調整はして
 く れません。会社は従業員に毎月給料を支払う際に、その給料に見合う所得税を源泉徴収して税務署に納付しています。会社
 が行う年末調整とは、自分たちが支払っている給料のみがそのサラリーマンの収入であると考えて、年間に納めるべき所得税を
 計算する ものです。その結果、その年の最後の給料を支払う際に、源泉徴収しすぎた所得税については還付し、または源泉徴
 収不足だった 所得税については不足分を徴収する形で調整します。つまり、その給与所得者が給料の他に不動産賃貸の所得な
 どがあっても、会社で年末調整することはありません。給料以外に不動産賃貸の所得等がある人は別途自分で確定申告をしなけ
 ればなりません。不動産所得も給与取得と併せて確定申告することによって、はじめてその年の所得と所得税額が確定します。


 所得税の計算

不動産を賃貸したことにより、不動産所得がある場合、その所得は所得税の対象となります。
その年の所得税額は、不動産所得と他の所得(給与所得等)を合算して算出します。

① 税額計算
所得税額 ={総所得金額(不動産所得 + 給与所得※1等その他の所得金額)
      - 各種所得控除額※2}× 税率※3 - 控除額※3 - 各種税額控除※4 - 源泉徴収税額
※1 給与所得とは、「給与所得の源泉徴収票」では「給与所得控除後の金額」を指します。※2 所得控除とは、配偶者や扶養親族がいるかどうかなどの個人的な事情を税負担のうえで考慮するため、所得金額から控除するものです。(例:配偶者控除、扶養控除等)所得控除額の合計額は、「給与所得の源泉徴収票」の「所得控除の額の合計額」で確認できます。※3 税率および控除額はこちら。※4 住宅ローン控除・配当控除などがあります。


② 確定申告と納税の仕方

確定申告期間その年の翌年2/16~3/15までの間
納税の期限3/15まで
確定申告書の提出先住所地を管轄している税務署

※確定申告期限(3/15)までに「振替納税依頼書」を提出した場合には、指定の金融機関からの口座振替により納税することができます。この場合に、納税は4月15日前後(毎年異なります)に口座から引き落とされることになります。


 住民税の計算

住民税は、所得税の確定申告書を税務署に提出すると、自動的に市町村に住民税の申告を提出したことになります。自分で住民税の申告をする必要はありません。住民税の納税の方法は特別徴収(給料から源泉徴収される方法)と普通徴収(納付書で自分で納付する方法)の2つの方法があります。普通徴収の場合は、一括で納税することも可能ですが、年4回(6月、8月、10月、翌年1月)に分けて納税することも可能です。給与所得以外の所得に対する住民税については、普通徴収により納付することも選択できます。

・マンションを購入した時の税金

マンションを購入した時の税金

マイホーム用でも賃貸用でも、不動産を購入した場合には、不動産取得税や登録免許税がかかります。またその後保有し続けると毎年固定資産税・都市計画税が課税されます。これらの税金ですが、賃貸用不動産は、マイホームでは適用可能である税金の軽減の特例を受けることができないなど、税務上の取扱いが異なる場合があります。


 賃貸用として不動産を購入した場合の取扱い
 ①不動産取得税
  賃貸住宅は、自己居住用ではないので住宅用不動産を取得した場合の軽減の特例は受けられません。(新築住宅は、マイホーム
  同様に適用要件を満たせば軽減の特例が受けられます。)
 ②登録免許税
  自己居住用ではないので、新築・中古ともに住宅用家屋の軽減の特例は受けられません。
 ③固定資産税・都市計画税
  適用要件を満たせば「住宅用地」及び「新築住宅の建物」の軽減措置が受けられます。
  ただし、市区町村により軽減の特例の内容が異なる場合がありますので、詳細は不動産が所在する市区町村にご確認下さい。
 ④消費税
  売り主が消費税の課税事業者であれば、建物部分については消費税が課税されます。


 賃貸を開始する際の届出書

届出書類届出理由提出期限
個人事業の開廃業届出書事業を開始した場合事業開始から1ヶ月以内
青色申告承認申請書青色申告を
選択したい場合
その年の3月15日まで
(その年の1月16日以後に事業を開始した人については、事業開始の日から2ヶ月以内)
所得税の減価償却資産の
償却方法の届出書
減価償却資産の償却方法に
定額法以外を選定したい場合
※償却方法を選定しない場合、全ての減価償却資産に定額法が選定されたとみなされます。
開業した年の翌年3月15日まで
※建物については定額法のみとなり定率法を選択することができません。

・マイホームを売った時の特例

買い替えのときに利用できる譲渡損失の繰越控除

譲渡損失の繰越控除には2つのタイプがある。一つ目は自宅を買い替えるときに利用できるタイプで、これを「マイホームの買換えの場合の譲渡損失の損益通算および繰越控除の特例」という。この特例を利用するには以下の要件を満たす必要がある。

所有期間が5年を超える自宅を売ること

この特例が利用できるのは、売却した年の1月1日時点で所有期間が5年を超えるマイホームを売却した場合だ。マイホームとは自宅のことなので、自分が住んでいるか、住まなくなった日から3年目の12月31日までに売却することが要件になる。

また、この特例には期限があり、2021年12月31日までの売却が対象だ。

敷地面積が500m2以内の部分まで

敷地面積が500m2を超える場合は、500m2を超える部分の譲渡損失の金額は繰越控除の対象とはならない。

合計所得金額が3000万円以内

合計所得金額が3000万円を超える場合は、その年は繰越控除を受けられない。

買い替え先の新居にも要件がある

買替え先の新居についても、以下の要件を満たす必要がある。

●旧自宅を売却した年の前年の1月1日から翌年の12月31日までに取得すること
●取得した年の翌年12月31日までに入居するか、入居する見込みであること
●家屋の床面積が50m2以上であること
●返済期間10年以上の住宅ローンを借りて取得すること

所得600万円、譲渡損失2000万円なら3年間は課税ゼロ

例えば給与収入が800万円で所得が600万円の人が自宅を買い替えて2000万円の譲渡損失が発生した場合、特例により所得税と住民税の課税は次のようになる(所得は4年間変わらないものと仮定)。

住宅ローン控除との併用は可能

この特例は、自宅を売却した年の前年と前々年に次の特例を利用していると適用されない。

●所有期間10年超の場合の軽減税率の特例
●3000万円特別控除
●買換え特例

また、売却した年の3年前以内に別の自宅でこの特例や、次に述べる特定居住用財産の譲渡損失の繰越控除の特例を受けている場合も、適用されないので注意が必要だ。

なお、この特例と住宅ローン控除は併用ができる。ただし住宅ローン控除は課税対象となる所得があることが前提なので、譲渡損失の繰越控除で所得がゼロになった年は住宅ローン控除が適用されない。

上記の例では4年目に400万円の課税所得が発生した年から住宅ローン控除が適用される。その時点で買い替え先の新居に住んで4年目なら、住宅ローン控除の対象期間10年のうち実際に適用されるのは7年間ということになる。

買い替えなくても利用できる譲渡損失の繰越控除

譲渡損失の繰越控除の特例には買い替えなくても利用できるタイプがある。それが「特定居住用財産の譲渡損失の損益通算および繰越控除の特例」だ。

所有期間や所得の要件は買い替えの場合と同じ

この特例の対象となるのは所有期間5年超の自宅で、合計所得3000万円以下の年だけなどの適用要件は買い替えの場合の譲渡損失の繰越控除の特例とほぼ同じだ(敷地面積500m2以下の部分のみという要件はない)。

売却の前日に売却住宅に住宅ローン残高があること

買い替えの場合の特例と大きく異なるのは、以下の点だ。

●買い替えなくても、賃貸住宅や実家に引越してもよい
●売却した自宅について、売却の前日に返済期間10年以上の住宅ローンの残高があること
●自宅の売却価格がその住宅ローン残高を下回っていること

住宅ローン残高から売却価格を差し引いた額が特例の限度額

また、この特例で損益通算と繰越控除の対象となる譲渡損失は、売却した前日の住宅ローン残高から売却価格を差し引いた額が限度額となる。

例えば取得費と譲渡費用の合計が3000万円のマンションを2100万円で売却した場合、本来の譲渡損失は差額の900万円だが、売却時の住宅ローン残高が2200万円だったとすると、特例の対象となる限度額はローン残高と売却価格の差額の100万円になる。これを計算式で表すと以下のとおりだ。

譲渡損失の金額:
取得費と譲渡費用の合計3000万円-売却価格2100万円=900万円

特例対象の限度額:
住宅ローン残高2200万円-売却価格2100万円=100万円

特例に必要な手続きは?

売却した翌年と繰越控除を受ける年に確定申告が必要

この譲渡損失の繰越控除の特例を利用する場合、買い替えの場合でもそうでない場合でも、売却した翌年に確定申告する必要がある。また2年目以降に繰越控除を受ける場合も、損失申告用の確定申告書を税務署に提出する手続きが必要だ。

・取得費用

土地や建物の購入代金、税金や手数料も含まれる

不動産を売って手にした売却益は「譲渡所得」として税金が発生する。売却益(譲渡所得)はあくまで利益なので、売却価格から不動産を手に入れるときにかかった費用=「取得費」と、売るときにかかった費用=「譲渡費用」を差し引いて計算することになる。

では、取得費になるものはどんな費用か?──売った土地・建物の購入代金、建築代金、購入するときにかかった手数料や税金、設備費、リフォームなどの増改築にかかった費用、住宅ローンの利息などが取得費となる。具体的には次のようなものだ。

【取得費になるもの】
(1)土地・建物の購入代金
(2)建築代金
(3)購入時にかかった税金(登録免許税、不動産取得税、印紙税など)
(4)仲介手数料
(5)測量費
(6)整地費・建物の取り壊し費用など
(7)設備費
(8)改良費
(9)一定の借入金利子

土地と建物の取得費は分けて計算する

ところで、取得費は土地とマンションや戸建などの建物では扱いが異なるので、注意が必要。土地の場合は買ったときの購入代金や手数料などの合計額が取得費になるが、建物の場合は建物の建築代金や購入代金などの合計額がそのまま取得費になるわけではない。建物は使用したり、期間が経過することによって価値が減少していくため、建物の取得費は購入代金などの合計額から減価償却費相当額を差し引く必要があるのだ。

建物の用途・構造で償却率が異なる

ちなみにこの減価償却費相当額は、建物が事業用(店舗や事務所など)か、住宅などの非事業用かで計算の仕方が変わる。非事業用の減価償却費の計算式は以下のとおり。

非事業用不動産の減価償却費=
「建物購入代金など取得に要した費用」×90%×償却率×経過年数

計算式中の償却率は建物の用途や構造で異なる。例えば、自己居住の木造住宅なら非事業用として通常の建物の耐用年数の1.5倍の年数の償却率0.031を用いて計算する。経過年数は築年数のことで、構造や築年数は登記簿の建物の全部事項証明書で確認ができる。

建物の取得に3000万円要した自己居住・築15年の木造住宅の場合、減価償却費は1255万5000円となる。

<内訳>
3000万円×0.9×0.031×1.5=1255万5000円

したがって、「3000万円-1255万5000円=1744万5000円」が建物の取得費だ。

土地は前述のとおり、購入代金や税金・手数料の合計がそのまま取得費と認められるので、仮に土地を取得するためにかかった費用の合計が1000万円だった場合は、建物取得費と合わせると、「1744万5000円+1000万円=2744万5000円」が土地・建物の取得費になる。

土地と建物の一括購入の場合の取得費は?

マンションや建売一戸建てのように土地と建物をセットで購入しているケースでは、建物分がいくらか分からないということもあるだろう。その場合は、土地と建物それぞれの購入金額を割り出す必要がある。やり方は以下のような方法だ。

(1)建物にかかった消費税から建物価格を逆算する
(2)標準的建築価額により建物価格を計算する
(3)土地と建物の固定資産税評価額の比率で按分して求める
(4)不動産鑑定士の鑑定価格などから土地と建物の時価を求め、その比率で按分する

例えば(1)の方法の場合、住宅価格が4000万円で消費税が200万円だったとすると、以下のように200万円を消費税率8%で割ると建物価格が計算できる。

建物価格:200万円÷8%(0.08)=2500万円

ちなみに住宅価格は税込表示なので、そこから建物価格と消費税を引いた金額が土地価格だ。
土地価格:住宅価格4000万円-建物価格2500万円-消費税200万円=1300万円

・譲渡所得の計算方法

税額の計算方法、申告手続きは?

譲渡所得にかかる所得税と住民税は、所得に税率を掛けて計算される。税率は以下のように、その不動産を所有していた期間によって異なる。所有期間5年以下が「短期譲渡所得」、5年超が「長期譲渡所得」だ。

【短期譲渡所得】
譲渡所得×39.63%(所得税30%+復興特別所得税0.63%+住民税9%)
※復興特別所得税の税率は2.1%で、これを所得税に乗じた値となる

【長期譲渡所得】
譲渡所得×20.315%(所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%)

また、長期譲渡所得については所有期間が10年を超えると、譲渡所得のうち6000万円以下の部分について「マイホームの軽減税率の特例」が受けられる。

【所有期間が10年超の場合のマイホームの軽減税率の特例】
・譲渡所得6000万円以下の部分

譲渡所得×14.21%(所得税10%+復興特別所得税0.21%+住民税4%)

・譲渡所得6000万円超の部分
譲渡所得×20.315%(所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%)

具体的に、マンションを3000万円で売ったケースについて、所有期間による税額の違いを計算してみると以下のようになる。

なお、所有期間は売却した年の1月1日時点でカウントされるので注意が必要だ。買ってから5年目の年はまだ「5年以内」なので、その年に売却すると短期譲渡所得になってしまう。【設定条件】

収入金額(売却価格)3000万円
購入時価格2500万円(土地1000万円、建物1500万円)
購入時費用75万円(土地分30万円、建物分45万円)
売却時費用105万円

【所有期間3年の短期譲渡所得のケース】
譲渡所得

収入金額3000万円-取得費(購入時価格2500万円+購入時費用75万円-減価償却費62万5725円※1)-譲渡費用(売却時費用105万円)=382万5725円

税額
382万5725円×39.63%=151万6100円(100円未満切り捨て)

※1 減価償却費=(建物価格1500万円+建物分購入時費用45万円)×90%×償却率0.015×経過年数3

【所有期間7年の長期譲渡所得のケース】
譲渡所得

収入金額3000万円-取得費(購入時価格2500万円+購入時費用75万円-減価償却費146万25円※2)-譲渡費用(売却時費用105万円)=466万25円

税額
466万25円×20.315%=94万6600円(100円未満切り捨て)

※2 減価償却費=(建物価格1500万円+建物分購入時費用45万円)×90%×償却率0.015×経過年数7

【所有期間12年の長期譲渡所得のケース】
譲渡所得

収入金額3000万円-取得費(購入時価格2500万円+購入時費用75万円-減価償却費250万2900円※3)-譲渡費用(売却時費用105万円)=570万2900円

税額
570万2900円×14.21%=81万300円(100円未満切り捨て)

※3 減価償却費=(建物価格1500万円+建物分購入時費用45万円)×90%×償却率0.015×経過年数12

・ローン支払いしているときの税額控除

2019年税制改正で控除期間が3年延長の予定

2019年度の与党税制改正大綱に、住宅ローン控除の控除期間が10年間から13年間になる案が盛り込まれた。これは2019年10月1日に予定されている消費税増税に伴う住宅取得支援策のひとつ。そのため、2019年に家を購入する人は、入居の時期によって住宅ローン控除が受けられる期間が違ってくる予定だ。

所得税の控除額の計算方法をまとめたのが下の表。家屋を消費税率(地方消費税含む)8%で購入して入居している人、2021年12月31日までに入居する人の場合は【A】、2019年10月1日~家屋を消費税率(地方消費税含む)10%で購入し、2020年12月31日に入居した人は【B】が適用。なお、消費税率アップ後の入居でも建築請負契約を2019年3月31日までに行い消費税率8%が適用の場合は【A】の計算方法になる。

住宅ローン控除の仕組み

・印紙税

印紙税(インシゼイ)の意味・解説

印紙税とは、印紙税法上で課税対象となる文書を作成する時に課せられる国税。契約書に印紙を貼る形で納税する。住宅を購入・建築する場合は、売買契約書や金銭消費貸借契約書(ローン契約書のこと)、建物建築工事請負契約書などを作成する時に必要となる。また、住宅の賃貸契約書にも貼付する。
契約書は2通作成し、契約当事者がそれぞれ1通ずつ所有・保管することから、印紙税もそれぞれが所有・保管する分の税金(印紙代)を負担・納税するのが一般的だ。
税額は、契約書の種類や契約金額により異なる。住宅取得に関する契約書類で、契約金額が1000万円を超え1億円以下の場合の税額は以下のようになる。

■土地建物売買契約書、建設工事請負契約書など

・契約金額1000万円を超え5000万円以下の税額は1万円
・契約金額5000万円を超え1億円以下の税額は3万円

■住宅ローンの契約書など

・契約金額(借入額)1000万円を超え5000万円以下の税額は2万円
・契約金額(借入額)5000万円を超え1億円以下の税額は6万円

※2014年(平成26年)4月1日から2020年3月31日までに作成された契約書の税額

・登録免許税

土地や建物の権利関係を明らかにする登記の際に課税される

家を買ったり建てたりするときには、土地や建物の権利関係を明らかにするために登記手続きが必要となる。この登記の際にかかる税金が登録免許税だ。住宅の登記には新築建物の所有権の保存登記、土地や中古建物の所有権の移転登記、住宅ローンを借りるときの抵当権の設定登記があり、それぞれの税額は、固定資産税評価額や、住宅ローンの借入額(抵当権設定登記の場合)に一定の税率をかけて計算される。

不動産登記は司法書士に代行してもらうのが一般的。司法書士への依頼は、住宅ローンを借りる金融機関か、不動産会社や住宅メーカーなどがしてくれるケースがほとんどだ。なお、家を建てる際には建物の表示登記も必要だが、登録免許税はかからず、不動産会社などを通じて土地家屋調査士に手数料を支払えばよい。

一定の要件を満たす住宅は税率が軽減される

土地の売買による所有権の移転登記や、住宅の新築・購入による建物所有権の保存登記。中古住宅などの売買による建物所有権の移転登記には、以下の軽減措置がある。

本則軽減後
土地の所有権の
移転登記
2%1.5%
新築建物の所有権の
保存登記
0.4%0.15%
中古建物の所有権の
移転登記
2%0.3%
住宅ローンの抵当権の
設定登記
0.4%0.1%

※長期優良住宅や認定低炭素住宅、不動産会社からリフォーム済みの中古住宅を購入する場合は、建物の所有権保存・移転登記の税率は0.1%に軽減される(長期優良住宅の一戸建ての移転登記は0.2%に軽減)
※軽減措置の適用期間は、土地所有権の移転登記2021年3月31日までに登記をする場合。建物の所有権保存登記、所有権移転登記、および抵当権設定登記は2022年3月31日までに登記をする場合

なお、軽減措置(土地所有権移転を除く)を受けるには、以下の要件を満たす必要がある。

  • 住宅の床面積(登記簿面積)が50平米以上
  • 自宅として住む住宅であること
  • 取得後1年以内の登記
  • 中古住宅の場合は以下のいずれかを満たすもの

(1)マンションなど耐火建築物は築25年以内、木造などは築20年以内
(2)一定の耐震基準を満たすことが建築士などにより証明されたもの

軽減を受けるための手続きは特に必要ない。登記の際に住宅が要件を満たしていれば、軽減された税率で税額が計算される。