・用語解説

用語解説

標準税率

制限税率
標準税率とは地方税法に規定されている通常の税率をいい、制限税率とは課税する場合にこれを超えてはいけない税率をいいます。地方公共団体は条例により自由に税率を定めることができるので、標準税率・制限税率とは異なる税率を採用しているケースもあります。よって固定資産税・都市計画税・不動産取得税等の地方税の税率は不動産の所在する地方公共団体に個別にご確認ください。
税務上の
耐火建築物の
定義
不動産取得税・登録免許税・住宅取得等資金にかかる相続時精算課税制度・住宅ローン控除の特例の対象となる「25年以内に建築された」中古住宅における税務上の「耐火建築物」とは、登記簿に記録されたその家屋の構造のうち建物の主たる部分の構成材料が次に掲げるものをいいます。
●石造 ●鉄骨造 ●れんが造 ●鉄筋コンクリート造 ●コンクリートブロック造 ●鉄骨鉄筋コンクリート造なお、「20年以内に建築された」中古住宅とは、この前記「耐火建築物」以外のものをいいます。
所得税
確定申告書の種類
所得税確定申告書は、次のような種類の申告書があります。
(1) 確定申告書A(第一表、第二表)
原則として、給与所得、雑所得、配当所得、一時所得だけの方が使用します。例えば、給与所得者で給与所得とローン控除の申告だけの場合には、確定申告書Aを使用します。
(2) 確定申告書B(第一表、第二表)
(1)に該当しない方が使用します。
例えば、不動産の賃貸をされている方、不動産を譲渡した方などは、確定申告書Bを使用します。ローン控除の申告がある方でも、不動産所得や譲渡所得があれば、この確定申告書Bを使用します。
(3) 分離用(第三表)
不動産や株式の売却の申告をする方が使用します。
第三表については、確定申告書B(第一表、第二表)と一緒に使用します。例えば、不動産の売却の申告をする方は、第三表と確定申告書B(第一表、第二表)とを一緒に提出します。
土地の評価税金を計算する基となる代表的な土地の評価として「固定資産税評価額」と「路線価額」があります。実際に売買される価格を「時価」又は「実勢価格」といい、また実際に売買がなされる際の取引の目安とされる「地価公示価格」、「基準地価」を含めると5つの地価が存在します。

地価公示価格
一般の土地の取引価格に対する指標等として毎年1月1日時点の価格がその年の3月に国土交通省より発表されます。
基準地価
一般の土地の取引価格に対する指標等として毎年7月1日時点の価格がその年の9月に都道府県より発表されます。
路線価額
評価される土地に接する道路につけられた価格です。これを基に相続税や贈与税計算の前提となる土地の評価を求めます。路線価額が定められていない地域では固定資産税評価額に一定の倍率を掛けて評価額とします。路線価額は公示価額の80%の水準になるように調整されています。
固定資産税評価額
固定資産税評価額は、固定資産税・都市計画税、不動産取得税、登録免許税の計算の基となる評価額です。3年に1度評価替えが行われ、平成24年に評価替えが行われました。平成6年度評価額以降、公示価格の70%の水準になるように調整されています。

・マイホームを売った時の特例

買い替えのときに利用できる譲渡損失の繰越控除

譲渡損失の繰越控除には2つのタイプがある。一つ目は自宅を買い替えるときに利用できるタイプで、これを「マイホームの買換えの場合の譲渡損失の損益通算および繰越控除の特例」という。この特例を利用するには以下の要件を満たす必要がある。

所有期間が5年を超える自宅を売ること

この特例が利用できるのは、売却した年の1月1日時点で所有期間が5年を超えるマイホームを売却した場合だ。マイホームとは自宅のことなので、自分が住んでいるか、住まなくなった日から3年目の12月31日までに売却することが要件になる。

また、この特例には期限があり、2021年12月31日までの売却が対象だ。

敷地面積が500m2以内の部分まで

敷地面積が500m2を超える場合は、500m2を超える部分の譲渡損失の金額は繰越控除の対象とはならない。

合計所得金額が3000万円以内

合計所得金額が3000万円を超える場合は、その年は繰越控除を受けられない。

買い替え先の新居にも要件がある

買替え先の新居についても、以下の要件を満たす必要がある。

●旧自宅を売却した年の前年の1月1日から翌年の12月31日までに取得すること
●取得した年の翌年12月31日までに入居するか、入居する見込みであること
●家屋の床面積が50m2以上であること
●返済期間10年以上の住宅ローンを借りて取得すること

所得600万円、譲渡損失2000万円なら3年間は課税ゼロ

例えば給与収入が800万円で所得が600万円の人が自宅を買い替えて2000万円の譲渡損失が発生した場合、特例により所得税と住民税の課税は次のようになる(所得は4年間変わらないものと仮定)。

住宅ローン控除との併用は可能

この特例は、自宅を売却した年の前年と前々年に次の特例を利用していると適用されない。

●所有期間10年超の場合の軽減税率の特例
●3000万円特別控除
●買換え特例

また、売却した年の3年前以内に別の自宅でこの特例や、次に述べる特定居住用財産の譲渡損失の繰越控除の特例を受けている場合も、適用されないので注意が必要だ。

なお、この特例と住宅ローン控除は併用ができる。ただし住宅ローン控除は課税対象となる所得があることが前提なので、譲渡損失の繰越控除で所得がゼロになった年は住宅ローン控除が適用されない。

上記の例では4年目に400万円の課税所得が発生した年から住宅ローン控除が適用される。その時点で買い替え先の新居に住んで4年目なら、住宅ローン控除の対象期間10年のうち実際に適用されるのは7年間ということになる。

買い替えなくても利用できる譲渡損失の繰越控除

譲渡損失の繰越控除の特例には買い替えなくても利用できるタイプがある。それが「特定居住用財産の譲渡損失の損益通算および繰越控除の特例」だ。

所有期間や所得の要件は買い替えの場合と同じ

この特例の対象となるのは所有期間5年超の自宅で、合計所得3000万円以下の年だけなどの適用要件は買い替えの場合の譲渡損失の繰越控除の特例とほぼ同じだ(敷地面積500m2以下の部分のみという要件はない)。

売却の前日に売却住宅に住宅ローン残高があること

買い替えの場合の特例と大きく異なるのは、以下の点だ。

●買い替えなくても、賃貸住宅や実家に引越してもよい
●売却した自宅について、売却の前日に返済期間10年以上の住宅ローンの残高があること
●自宅の売却価格がその住宅ローン残高を下回っていること

住宅ローン残高から売却価格を差し引いた額が特例の限度額

また、この特例で損益通算と繰越控除の対象となる譲渡損失は、売却した前日の住宅ローン残高から売却価格を差し引いた額が限度額となる。

例えば取得費と譲渡費用の合計が3000万円のマンションを2100万円で売却した場合、本来の譲渡損失は差額の900万円だが、売却時の住宅ローン残高が2200万円だったとすると、特例の対象となる限度額はローン残高と売却価格の差額の100万円になる。これを計算式で表すと以下のとおりだ。

譲渡損失の金額:
取得費と譲渡費用の合計3000万円-売却価格2100万円=900万円

特例対象の限度額:
住宅ローン残高2200万円-売却価格2100万円=100万円

特例に必要な手続きは?

売却した翌年と繰越控除を受ける年に確定申告が必要

この譲渡損失の繰越控除の特例を利用する場合、買い替えの場合でもそうでない場合でも、売却した翌年に確定申告する必要がある。また2年目以降に繰越控除を受ける場合も、損失申告用の確定申告書を税務署に提出する手続きが必要だ。

・特定居住用財産の買換え特例について

特定居住用財産の買換え特例について

マイホームを売った金額より、買換えたマイホームの取得金額の方が大きければ課税されないという制度です。
この制度は税金の支払いを免除するのではなく、課税の繰延べといわれます。
譲渡資産に対する譲渡所得税は買換え資産に引き継がれます。
この場合、譲渡資産の「取得費」は次の買換え資産に引き継がれますが、「取得日」は引き継がれません。


 譲渡所得の計算
譲渡代金>買換え代金の場合
  ①譲渡収入金額…………譲渡代金-買換え代金
  ②取得費・譲渡費用…(譲渡資産の取得費+譲渡費用)×①/譲渡代金
  ③譲渡所得………………①-②

 譲渡代金≦買換え代金の場合

  譲渡所得はなし


 注意点
 1 居住期間は通算年数で判定 特定居住用財産の買換え特例には居住期間が10年という要件がありますが、それはその居住用財産の所在する場所に10年とい
 ことであり、引き続き居住している必要はなく、転勤等により一時的にその場所以外に居住している期間がある場合には、通算
 して10年以上であればかまいません。また、その10年という期間は譲渡した日までの居住期間をいい、前述した所有期間の計
 算とは考え方が違いますので、注意して下さい。

 2 土地と建物の所有者が異なる場合でも可
 特定居住用財産の買換え特例は、基本的に建物の所有者に適用されます。しかし土地と建物の所有者が異なった場合でも、次の
 要件の全てを満たしたときは特定居住用財産の買換え特例の適用を受けることができます。敷地の所有者と建物所有者が、譲渡
 時から居住の用に供すべき期間(取得年の翌年末)まで生計を一にする親族関係があるという条件とともに、売った資産・買っ
 た資産に次のような条件が付いています。

・取得費用

土地や建物の購入代金、税金や手数料も含まれる

不動産を売って手にした売却益は「譲渡所得」として税金が発生する。売却益(譲渡所得)はあくまで利益なので、売却価格から不動産を手に入れるときにかかった費用=「取得費」と、売るときにかかった費用=「譲渡費用」を差し引いて計算することになる。

では、取得費になるものはどんな費用か?──売った土地・建物の購入代金、建築代金、購入するときにかかった手数料や税金、設備費、リフォームなどの増改築にかかった費用、住宅ローンの利息などが取得費となる。具体的には次のようなものだ。

【取得費になるもの】
(1)土地・建物の購入代金
(2)建築代金
(3)購入時にかかった税金(登録免許税、不動産取得税、印紙税など)
(4)仲介手数料
(5)測量費
(6)整地費・建物の取り壊し費用など
(7)設備費
(8)改良費
(9)一定の借入金利子

土地と建物の取得費は分けて計算する

ところで、取得費は土地とマンションや戸建などの建物では扱いが異なるので、注意が必要。土地の場合は買ったときの購入代金や手数料などの合計額が取得費になるが、建物の場合は建物の建築代金や購入代金などの合計額がそのまま取得費になるわけではない。建物は使用したり、期間が経過することによって価値が減少していくため、建物の取得費は購入代金などの合計額から減価償却費相当額を差し引く必要があるのだ。

建物の用途・構造で償却率が異なる

ちなみにこの減価償却費相当額は、建物が事業用(店舗や事務所など)か、住宅などの非事業用かで計算の仕方が変わる。非事業用の減価償却費の計算式は以下のとおり。

非事業用不動産の減価償却費=
「建物購入代金など取得に要した費用」×90%×償却率×経過年数

計算式中の償却率は建物の用途や構造で異なる。例えば、自己居住の木造住宅なら非事業用として通常の建物の耐用年数の1.5倍の年数の償却率0.031を用いて計算する。経過年数は築年数のことで、構造や築年数は登記簿の建物の全部事項証明書で確認ができる。

建物の取得に3000万円要した自己居住・築15年の木造住宅の場合、減価償却費は1255万5000円となる。

<内訳>
3000万円×0.9×0.031×1.5=1255万5000円

したがって、「3000万円-1255万5000円=1744万5000円」が建物の取得費だ。

土地は前述のとおり、購入代金や税金・手数料の合計がそのまま取得費と認められるので、仮に土地を取得するためにかかった費用の合計が1000万円だった場合は、建物取得費と合わせると、「1744万5000円+1000万円=2744万5000円」が土地・建物の取得費になる。

土地と建物の一括購入の場合の取得費は?

マンションや建売一戸建てのように土地と建物をセットで購入しているケースでは、建物分がいくらか分からないということもあるだろう。その場合は、土地と建物それぞれの購入金額を割り出す必要がある。やり方は以下のような方法だ。

(1)建物にかかった消費税から建物価格を逆算する
(2)標準的建築価額により建物価格を計算する
(3)土地と建物の固定資産税評価額の比率で按分して求める
(4)不動産鑑定士の鑑定価格などから土地と建物の時価を求め、その比率で按分する

例えば(1)の方法の場合、住宅価格が4000万円で消費税が200万円だったとすると、以下のように200万円を消費税率8%で割ると建物価格が計算できる。

建物価格:200万円÷8%(0.08)=2500万円

ちなみに住宅価格は税込表示なので、そこから建物価格と消費税を引いた金額が土地価格だ。
土地価格:住宅価格4000万円-建物価格2500万円-消費税200万円=1300万円

・不動産取得税

不動産取得税は、家の購入、新築など不動産を取得したときにかかる税金。家を買う場合は「土地」と「建物」それぞれにかかる。税額は土地・建物の課税標準額(固定資産税評価額)に税率「3%」をかけて計算される。

(税率3%は2021年3月31日までの措置。原則は4%)

新築住宅の建物部分については、課税標準額から「1200万円」控除される軽減措置がある(認定長期優良住宅は1300万円まで控除)。
中古住宅は建築時期によって控除額が異なるが、1997年4月1日以降建築の住宅は控除額「1200万円」となる。

不動産取得税(建物)の軽減措置

  • 課税標準額1250万円の新築住宅の例(1250万円[課税標準額]-1200万円[控除額])×3%[税率]=1.5万円

マンションと不動産取得税

マンション(建物)の各住戸の課税標準額は、専有面積の割合を基に按分して計算されるため、同じマンション(棟)の場合、専有面積が同じなら税額も同じになるのが一般的だ。
ただし、2018年4月1日以降に引き渡しとなる新築タワーマンション(※)は、税制改正により、建物の階数等による差異も課税標準額に反映されることになった。このため上層階の住戸の税額が高めになる傾向だ(床面積が同じで課税標準額が1200万円を超える住戸の場合)。

※2017年1月2日以後に新築された高さ60m超えのマンション。ただし2017年3月31日までに売買契約をした住戸のあるマンションは該当しない

軽減措置を受けられる住宅の条件

  • 床面積が50平米以上240平米以下の住宅(マンションは共用部分の按分面積を含む)
  • 中古の場合は「自分が居住する住宅」で、以下のいずれかを満たすもの

(1)1982年1月1日以降に新築された住宅

(2)建築士等によって一定の耐震基準に適合すると証明された住宅

(3)購入後に耐震改修工事を行い、一定の耐震基準に適合すると証明された住宅

土地にかかる税額計算と軽減措置

土地を取得する場合の不動産取得税も「課税標準額×税率3%」で計算されるが、2021年3月31日までに「宅地等」を購入する場合、課税標準額は「固定資産税評価額の2分の1」となる。

さらに、前述の条件に合う住宅が建つ土地や、住宅を3年以内に新築する場合など、一定条件を満たす場合は、次のような軽減措置が受けられる。

不動産取得税(宅地)の軽減措置

  • 固定資産税評価額2000万円、土地面積100平米、住宅面積90平米の例(2000万円×1/2)[課税標準額]×3%[税率]-54万円[軽減額※]=0円[税額](マイナスになる場合課税されない)
  • 軽減額は、下記(1)または(2)の高いほうの金額となる

(1)45000円
(2)土地1平米当たりの課税標準額×住宅の床面積の2倍(一戸当たり200平米が限度)×税率3%(※)
※2021年3月31日までに上の例の宅地を取得した場合、(2000万円×1/2÷100平米)×(90平米×2)×3%=54万円と計算する